MENU

【本音レビュー】朝井リョウ『正欲』

稲垣吾郎、新垣結衣が主演で映画化もされた話題の小説。
第34回柴田錬三郎賞を受賞し、発行部数は50万部越え。
映画『正欲』公式サイト (bitters.co.jp)には「傑作か、問題作か」と表現されている。
はたして本書はどちらに当たるのでしょうか・・・

本書を知ったのは映画化がきっかけです。
朝井リョウさんの作品『何者』『何様』などなど読んでいて、この作品も「おもしろ予感」がしていました。
映画を観たいと思っていましたが、やはり朝井リョウさんの筆力のすごさは目を見張るものがあり、「まず小説で読みたい」と思いました。今回、小説で読んだ感想を本音で書いていきたいと思います。

目次

かんたんに | 『正欲』

どんな本?

「多様性を大切に」と謡われている社会でマイノリティに分類される人に焦点が当てられている小説です。
いろんなフェチを持った登場人物についてのストーリーがリレー形式で進んでいきます。
かなり重めなテーマではあるものの、朝井リョウさん得意の「醸成された空気感の言語化」で「分かる!」と納得感を持ちながら読み進めることができます。

こんな人におすすめ

  • まず朝井リョウさんの作品が好きな人におすすめ!本作も朝井リョウさんの「醸成された空気感の言語化」「観察力」が遺憾なく発揮されており、期待通りにストーリーを楽しむことができます!
  • 「多様性ってよく聞くけどいまいち掴みどころがない」と感じている人におすすめ。本作ではマイノリティ側に焦点が当てられてストーリーが展開しています。「多様性を大切に」と言われてさぞかし生活しやすくなっているだろうと思われた人たちは、本当に過ごしやすいだろうか・・・を考えさせられます。

ではでは早速本書の内容紹介に移っていきます。

登場人物 | 『正欲』

登場人物みんなそれぞれ抱えているものがありますね。
桐生夏月・佐々木佳道・諸橋大也は水が噴き出すところが好きな”水フェチ”。
神戸八重子は過去にトラウマがあり、寺井啓喜は経験から息子を”正しい道”に戻すために苦悩している。

「あれ、水フェチくらいなら別に普通じゃない?」とか一昔前は自己紹介で「○○フェチです」って言ってたじゃない…と思う人も多いのではないでしょうか。
私も最初はそんな深刻に考えなくてもいいのでは、と思っていました。
が、小説を読んでみて、そんな安易に「深刻に考えなくてもいいのでは」と言えないな…と思いました。

水フェチと一概に言ってしまっていますが人によって度合いがことなります。
「水を見ていると癒される」という人もいれば、「水に興奮する」という人もいます。
前者と後者では大きな違いがあり、壁があります。
そこを無視して「水フェチ?別に普通じゃない」ということは安易な考えかな、と感じました。

また小説のなかでそれぞれの主人公の苦悩が描かれており、安易な考えと向き合うヒントになります。

感想 | 『正欲』

人にはそれぞれ個人的な趣味趣向がある。「多様な」趣味趣向があり、バラエティーに富んでいる。どんな物事でもマジョリティがあればマイノリティもある。現代社会は「他人を受け入れよう」「みんな違ってみんないい」と多様性の重要性が謡われている。では多様性の重要を強調する社会では、マイノリティに分類される人々は過ごしやすいのだろうか?について、マイノリティに分類される登場人物の心情を通して考えを深めることができる小説でした。

私のお気に入りの1冊になりました。前から思っていたのですが朝井リョウさんの「観察力」「言語化力」「筆力」が遺憾なく発揮されています。空気感という捉えがたいもの文章で簡単に表現している様はすごい、としか言い表せないですね。

お気に入り度:
ストーリー:
キャラクター:

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

コメント

コメントする

CAPTCHA


目次